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耐震ケーブルブレース コラム Column

【法人向け】鉄骨の耐用年数と耐震対策|ブレースや倉庫、階段など

企業が所有・運営するオフィスビルや倉庫、工場を長期にわたり安全かつ経済的に活用するには、鉄骨構造の寿命を正しく把握し、適切な耐震補強とメンテナンスを行うことが不可欠です。当記事では、法定耐用年数と実用耐用年数の違いを整理しつつ、ブレース(筋かい)を中心とした耐震対策、倉庫・階段の特徴、そして維持管理のポイントを解説します。

鉄骨の耐用年数 ─ 法定耐用年数と実用耐用年数

1. 法定耐用年数(減価償却上の指標)

国税庁の「耐用年数表」では、鉄骨厚4 mm超の重量鉄骨は31~38年、4 mm以下の軽量鉄骨は17~27年など、厚みと用途別に細分化されています。これは税務上の減価償却期間であり、帳簿上の資産価値を計算するための年数にすぎません。

2. 実用耐用年数(物理的寿命)

実際の鉄骨造は、適切な防錆塗装や部材交換を行えば重量鉄骨で60年以上、条件が良ければ100年近い長寿命も期待できます。一方で、メンテナンスを怠れば早期劣化を招き、想定寿命を大幅に下回るケースもあるため、「法定<実用<管理次第」という関係を意識しましょう。

環境要因も鉄骨劣化に大きく影響します。海岸近くの建物では、塩分を含んだ海風にさらされることで腐食が加速します。一方、工業地帯では大気中の化学物質が鉄骨表面を侵食することがあります。さらに、高湿度の環境は錆の進行を早め、定期的な乾湿の繰り返しは鉄骨に大きな負担をかけます。
これらの症状が現れた場合、初期段階で適切な処置を行うことで、深刻な劣化を防ぎ、大規模な修繕コストを抑えることができますが、メンテナンスへの労力と時間がかかり、施設管理者にとって大きな負担となっています。

狭小空間 設備の干渉 短工期
制限のある条件下での耐震補強に。
軽くて柔軟、一般的なブレースよりも強い
耐震ケーブルブレース

鉄骨造倉庫

鉄骨造の倉庫は、税法上の耐用年数が骨格材の厚みに応じて17~38に区分されていますが、これはあくまで減価償却の計算上の目安にすぎません。実際には、重量鉄骨で建てられた堅牢な倉庫であれば、計画的な点検と補修を続けることで30年から50年ほど安定して使用できるケースが大半です。

ただ、倉庫は住宅や事務所に比べてスパンが大きく、内部に高層ラックや天井クレーンを設置することも多いため、柱や梁に掛かる荷重が複雑になります。特に地震時には偏心ねじれが生じやすく、架構バランスを崩すと商品や機械が転倒して甚大な被害を招きかねません。

また、鉄骨柱脚まわりは雨水やフォークリフトの衝突で劣化しやすい部位のため、別途補強の検討が必要です。

鉄骨階段

鉄骨製の屋外階段や非常階段の使用寿命は環境とメンテナンスによって大きく変わります。適切な防錆塗装を十年に一度程度施し、踏板や蹴込み板の溶接部を定期的に増し溶接・交換すれば、四十年ほどは問題なく機能を維持できます。とりわけ屋外階段は雨水と紫外線の影響を直接受けるため、塗膜が劣化し始める七~八年目が最初の点検の分岐点です。

ここでサビの発生を抑えられれば、腐食による板厚減少を最小限に留めることができます。逆に塗替えを怠り、孔食が進行してしまうと十~十五年で踏板が抜け落ちるほどの損傷に至る例も少なくありません。階段は緊急時に多数の従業員や来訪者が一斉に利用する避難動線でもありますので、たとえ軽微なサビでも早期にケレンと防錆下塗りを行い、必要に応じて高耐候性フッ素樹脂塗料など上位グレードの塗料を採用することが望まれます。

点検周期の目安は屋外で三年ごと、屋内で五年ごとですが、沿岸部や化学薬品を扱う工場では腐食速度が速いため、年次点検を実施して腐食深さを数値で記録し、劣化傾向を可視化させるとより安心です。

劣化の3要因 腐食・疲労・地震動

鉄骨は耐久性に優れていますが、「腐食・疲労・地震動」という三つの劣化要因が相互に作用し、設計上の寿命を大幅に縮める危険があります。三要因は独立ではなく連鎖的に建物性能を奪います。
まず腐食です。塗膜が割れたり排水が滞ったりすると雨水や塩分が鋼材内部に浸入し、柱脚やブレース端部から板厚が局部的に減少します。肉厚がわずか1 mm失われただけでも耐力は低下しますので、外観が健全に見えても内部で進む点サビには注意が必要です。
次に疲労です。クレーン走行や機械振動、風荷重など日常的な繰り返し応力が溶接止端やボルト孔縁に微細なき裂を生じさせます。このき裂は地震時の瞬間的な大荷重で一気に破断へ進展する“隠れた時限爆弾”となります。磁粉探傷や超音波探傷といった非破壊検査を定期的に行わなければ、進行度を把握できません。
そして最大の脅威が地震動です。旧基準の鉄骨の場合、保有水平耐力が現行基準より2〜3割低く、柱梁接合部の靱性も不足しています。腐食で部材が薄くなり、疲労でき裂が入った状態で大地震に遭遇すれば、柱脚やブレースが局部座屈し、接合部破断から全体崩壊へ至る連鎖破壊が現実化します。

維持管理と耐用年数の関係

上述の通り、鉄骨の “長持ち”という前提は、日常点検と災害後の迅速なメンテナンスが実行されていることが大前提となります。結果として、60年近く保つはずだった鉄骨が、メンテナンス不足によって早期に更新を迫られるケースも珍しくありません。
したがって、通常時は年次または半期ごとの点検を徹底し、災害発生時には速やかに専門家による詳細調査を行い、必要に応じて補修・補強を施す。このサイクルを守ることが、鉄骨の本来の耐用年数を引き出す最善策と言えます。

狭小空間 設備の干渉 短工期
制限のある条件下での耐震補強に。
軽くて柔軟、一般的なブレースよりも強い
耐震ケーブルブレース


メンテナンスフリーな新工法 耐震ケーブルブレース

こうした鉄骨のメンテナンス負担や、座屈の危険性に関する課題を極力解決したのが耐震ケーブルブレースです。基本的にメンテナンス不要で、長く安全にお使いいただくことが可能です。

✔️ 高い耐候性(標準仕様で溶融亜鉛めっきを施工)
✔️ 壁面に設備や配管がある場合、基本的に移動させる必要無し
✔️ 既存ブレースがあっても基本的に取り付け可能

座屈によるはらみ出し、耐力低下が生じない

地震の時はブレースに引張力だけではなく圧縮力も強く掛かります。細くて長い鉄骨は圧縮力を受けると鋼材がつぶれてはらみ出してしまい、耐力低下が生じたり、壁を破壊する恐れがあります。実際に2016年の熊本地震では、このはらみ出し(座屈)による建物の損傷・崩壊が発生しました。

ケーブルブレースを構成するより線は引張力のみに抵抗し、圧縮力を受けた場合、柔軟に緩んで受け流します。このため座屈による耐力低下やはらみ出しが起こらず、建物を守ることができます。

※万が一、変状が生じた場合、ケーブルのたわみが大きくなる可能性が高いです。大地震後にたわみが大きくなった場合、ケーブル部に関して、都度のご契約での点検対応も可能です。

高い耐候性

標準仕様で溶融亜鉛めっきを施しており、屋内での通常環境であれば、この仕様で問題ございません。屋外や特殊環境(塩素雰囲気等)の場合、より線の外周に高密度ポリエチレン被覆を施した仕様を推奨しております。

採用事例

  • 室内 化学薬品工場 (錆びやすい環境のため、ポリエチレン被覆仕様)
  • 屋外 屋上部の鉄骨
  • 屋外 塩害対策

制限のある条件下でも使用可能

耐震ケーブルブレースは柔軟性に富み、狭いスペースを通して設置することができます。作業員が一人しか入れないような空間にケーブルブレースを搬入し、片側の端末金具を下にいる作業員に向けて下ろして設置する、といった施工も可能です。
足場の設置も最小限で済み、既存設備や配管の移動が基本的に不要です。

(※ 場合によりますので、詳しくはご相談ください)

壁面への設備を避けての設置例

さらに、端末金具を入れても直径約2m以内のリング状にまとめられます。階段やエレベーターを使ってコンパクトに搬入することができるため、「長尺の鋼材が現場に搬入できるのか」といった事前の確認のための調査手間や、実際に搬入する人員の削減ができます。

壁を開孔しての水平ブレース設置

間柱を開孔しての軸ブレース設置

狭小空間での軸ブレース設置

低コスト・スピーディー

現場溶接や重機が不要で足場も最小限で済むため、工期を大幅に短くすることができます。また、複数グリッドに跨る屋根向けで建設技術審査証明(BCJ-審査証明-198)を取得しており、品質の観点からも安心してお使いいただけます。

導入を検討されている設計者様へ

鉄骨設計は建物の骨格だけに失敗が許されないので、新工法は設計・施工に不安な点もあるかと思います。耐震ケーブルブレースは販売開始から10年以上が経過し、導入実績は200件以上と年々増加しております。初めて施工される時は、納入時または取付時など、ご希望の日時に弊社より指導員を派遣して、取り扱い説明をいたします。

設計上のご不明点は、ぜひお問い合せフォームからお聞かせください。関連資料もダウンロードできますので、検討のお役に立てたらと思います。

ゼネコン・施工業者様へ

耐震ケーブルブレース 取り付け体験

神鋼鋼線工業 尼崎本社にて、
耐震ケーブルブレースの取り付けを体験いただけます。
一度簡単取り付けを試してみませんか?

施工を希望されている施主様へ

弊社では信頼できる施工会社様をご紹介しておりますので、お気軽にお問い合せください。尚、お付き合いのある施工会社様での施工も可能です。

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