Shinko Wire Company, Ltd.

エンジニアリング



ケーブルの点検・補修

点検・補修の概要

 吊構造物に使用されているケーブルは、常に引張力を受けており、腐食や損傷を放置しておくと重大な事故となる恐れがあります。
 当社では、吊橋、斜張橋、アーチ(ニールセン)橋などの橋梁構造物および吊屋根構造、張弦梁構造、膜構造などの建築構造物に使用されているケーブルの腐食・損傷などについて点検・調査を行っております。

【主な業務内容】

ケーブルの点検・補修○ケーブルおよび付帯金物の目視点検
○ケーブル渦流探傷システム(非破壊調査)
○ケーブル被覆開封点検
○ケーブル防食工事(防食テープ巻き工法)
 ※NETIS登録番号 KT-090028-A
○ケーブル被覆損傷部の補修、開封点検後の被覆撤去部の補修
○レプリカ法による断面状況調査
○撤去したケーブルの各種調査(腐食状況、残留強度、断面状況)
○ケーブル張力調査
○取替用ケーブルおよび付帯金物の設計、製作

弊社の経験豊富な技術員が現地に出張し、目視診断を中心に各種点検を実施いたします。
その点検・調査結果に基づいてケーブルの健全度を判断し、それぞれのレベルにあわせた対策を提案いたします。

【点検のポイント 人道吊橋の例】

点検のポイント 人道吊橋の例

点検位置 点検項目
橋の形状 橋面の傾き、異常な振動、湿潤環境
ケーブル ロープ径、腐食、断線、摩耗、軸折れ、弛み、取付方法
定着部 ソケット抜出し、腐食、泥等の堆積、変形、弛み、湿潤環境
吊  索 ロープ径、腐食、弛み、ワイヤグリップの弛み、ケーブルバンドの滑り
床板・手摺 損傷脱落、腐食、弛み(釘抜け)
その他 ボルト類の脱落、ネジ部の腐食

損傷・不具合の事例

 腐食が進行すると強度が低下し、素線断線やロープ自体および接続金具が破断する恐れがあります。
 腐食したケーブルは取り替えが最も望ましいですが、腐食が軽度で取替が困難な場合は、ケーブルの延命策を図るケースが多数あります。しかしながら、適切な防食方法が取られていない場合、腐食が進行し続ける場合がありますので注意が必要です。

(事例1)吊索の腐食、破断
(事例1)吊索の腐食、破断
(事例2)プラスチックカバリングの外れによる腐食
(事例2)プラスチックカバリングの外れによる腐食
(事例3)塗装の割れによる腐食
(事例3)塗装の割れによる腐食
(事例4)プラスチックカバリングの割れ、剥離
(事例4)プラスチックカバリングの割れ、剥離
【ケーブル腐食対策における注意点および従来工法の問題点】

吊構造用ケーブルは、供用中常に振動や伸縮を繰り返しています。
○防食対策が適切で無い場合、防食材の割れ、剥離等の不具合が発生します。
○腐食したケーブルへの防錆塗装を行う場合、素線間溝部への充分な素地調整を行うことは困難であり、安定した防食性能は期待できません。
○プラスチックカバリングが損傷した場合、損傷部より水分が浸入し被覆内部が湿潤状態となり、急速に腐食が進行します。
○ケーブル被覆内部や定着部など目視確認ができない場合は、特に注意が必要です。

不適切な対策をした場合、腐食が進行し非常に危険な状態となる可能性があります。

腐食の評価

 構造用ケーブルには溶融亜鉛めっきが施されていますが、一般的に使用されている溶融亜鉛めっきの耐用年数は、個別の環境に大きく影響を受け、数年のうちに耐用年数を終える場合もあります。

(表1)【溶融亜鉛めっき鋼線の腐食速度】
環境 腐食損失 発錆までの年数
Zn重量
(g/m2/年)
厚み
(μ/年)
計算年
(年)
観察値
(年)
工業地帯 119.0 16.6 2.1 2.3
海洋地帯 35.1 4.9 7.1 6.3
田園地帯 19.2 2.7 12.9 12.1
めっき線の亜鉛付着量は平均247g/m2です。
(出典 日本鉛亜鉛需要研究会:亜鉛とその耐食性、昭和49年10月)

(表2)【溶融亜鉛めっき鋼線の腐食の影響】
外観 めっき減量白錆 赤錆点在 赤錆1/2程度 全面赤錆→断面欠損
【溶融亜鉛めっき鋼線の腐食の影響】
経年変化
めっき減量白錆
赤錆点在 赤錆1/2程度 全面赤錆→断面欠損
腐食レベル A B C D
健全性 健全域 補修・取換検討域 取換検討域
点検方法 目 視 目視 ロープ径測定 錆レベル ・ 錆分布調査
経過観察(錆進行速度の推定) その他
対  策 清 掃 補 修 取 替
取 替
腐食レベルA:亜鉛めっき層の腐食減量のみ B:赤錆点在 C:赤錆が半分程度 D:全面赤錆(めっき完全消滅)
【安全性の評価】

 表2は溶融亜鉛めっき鋼線の腐食減面率がケーブルの物性に与える影響を示します。これによると断面の減面率が僅かであっても、引張強度や疲労強度が大きく低下します。更に、伸びやねじり等の靭性(粘り強さ)も大きく低下しているものと考えます。
 また、ケーブルは構成素線全数が同時に破断するのではなく、最弱の素線から順次破断するため、素線の残留集合強度の単純な合計がロープの残留強度ではなく、破断にいたる場合は連鎖的かつ一気に起こると考えられます。
 したがって、強風や振動により破断する可能性が否定できません。

渦流探傷システム(非破壊検査)

渦流探傷システム(非破壊検査) 吊構造用ケーブルには樹脂等の被覆されたものもありますが、ケーブル点検のためにはその被覆を除去する必要がありました。
 当社の渦流探傷システムは、既存の被覆の上から調査することが可能で、腐食の進んでいる個所を発見することができます。
 また、非常に軽量且つコンパクトな装置を使用していますので、現地での作業が短時間で容易に行うことができます。


【仕組み】

コイルに交流電流を流すと磁界が発生します。
このコイルに金属(導電性物質)を近づけると次のような変化が生じます。
1 近づけた金属に渦電流が発生します。
2 コイルの電流に変化が生じます。
渦流探傷システム仕組み
この原理を利用して、材質の違い(異材混入、材質確認)や形状の変化(腐食、割れ、傷)を調べることが出来ます。

【特 徴】

被覆材の上から測定可能
 被覆材が非導電性、非磁性であれば測定可能です。
 金属でも被覆が薄ければ可能な場合があります。
機材が軽量
 計測器+電源+センサーで20kg以下

ケーブルの腐食状況は、装置のモニターでリアルタイムに表示◎ケーブルの腐食状況は、装置のモニターでリアルタイムに表示されますので、即座に腐食部の被覆を開封し、ケーブル素線の調査を実施することが可能です。


【検出データ】【核当部の開封状況】

【検出データ】【核当部の開封状況】

防食テープ巻き工法(NETIS登録番号 KT-090028-A)

 損傷・不具合の事例で示したとおり、防食対策が適切でない場合、腐食が進行し続ける可能性があります。
 腐食したケーブルは、取り替えが最も望ましいですが、腐食が軽度で取り替えが困難な場合は、防食テープ巻き工法により、空気と水分を遮断することで腐食の進行を遅らせることが可能です。
 当社は、ケーブルメーカーとしての知識と経験から、安定した防食性能とライフサイクルコスト(LCC)とのバランスを考慮した防食テープ巻き工法を提案しております。
 防食テープ巻き工法は、1989年以来、多くの実績を重ねております。


【(酸化重合硬化型)防食テープ巻き工法による延命対策のご提案】

○鋼構造物用に開発された、粘質で柔軟なテープです。
○ケーブルの振動や伸縮、素線間の動きにも追従し、ひび割れによる浸水がありません。
○下塗り材は、錆の進行を抑える働きがあります。
○油系の防食テープにありがちな施工後の油タレ、飛散の心配もありません。
○耐用年数は、使用環境にもよりますが、約25年間の防食性能が期待できます。
○施工後も定期点検を推奨しておりますが、防食テープは容易に開封し復旧することが可能です。

(写真1)防食テープ施工前
(写真1)防食テープ施工前
(写真2)防食テープ施工後
(写真2)防食テープ施工後
(写真3)防食テープ施工
(写真3)防食テープ施工
(写真4)防食テープ開封点検 ※施工後12年経過で異常なし
(写真4)防食テープ開封点検 ※施工後12年経過で異常なし

防食テープの仕様

製 品 名 酸化重合硬化型防食テープ 防食テープ図
防食テープ図
主 材 料 特殊配合乾性油を主成分としたコンパウンドをプ
ラスチック系の布に含浸させたテープ
特   徴 ○太陽の光、熱および酸素を吸収して表面を硬化させ硬化膜を形成する酸化重合硬化型のテープ
○防食性、耐候性、耐熱性、密着性、柔軟性、変位追従性にすぐれる
○低・高温でのコンパウンドの粘度変化が少なく作業性が変わらない
○難燃性
○溶剤を一切使用しない
構 成 材 料 下塗り材、充填材、防食テープ、上塗り材
試 験 結 果 ○耐候性試験:ウェザオメーター5000H異常なし
○塩水噴霧試験:4000H異常なし
○実環境最高到達温度60〜70℃で約50年の寿命推定
○消防危-第57号の難燃性基準に合格

作業工程

1 下地の清掃(手工具)
1 下地の清掃(手工具)
4 防食テープ巻
4 防食テープ巻
2 下塗材塗布
2 下塗材塗布
5 テープ撫で付け
5 テープ撫で付け
3 凹凸部を充填材で整形
3 凹凸部を充填材で整形
6 上塗材塗布
6 上塗材塗布
※人・車両や鳥獣等による外傷を受けやすい部位には、防食テープの上から防護カバーを巻くなどの措置を施すことをお勧めいたします。